夢のつづき

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夢のつづき

 目を覚ますと(あた)りは暗闇で、灼熱の炎が何もかもを呑み込もうとしていた。  ひどい耳鳴りに視界が揺らぐ。  ーーここは一体どこなのだろう……  「……だ、誰か助けて!」  だが必死の叫び声は頭の中に響くだけで、実際は(かす)れた呻き声が漏れただけだった。  熱気が喉を、肺を焼く。  ここには誰もいない。ちっぽけな少女と、闇と、怒り狂う炎があるだけだ。  死の予感が脳裏をよぎったその時、少女は見た。炎の向こうに揺らめく何者かの影を。  ーーあなたは……誰? ★  冷たい三月の夕暮れ時。野村(ひとみ)は先程から、バス停でひとり灰色の空を見上げていた。  糸のように(まとわ)りつく霧雨(きりさめ)のせいで、ひとつに束ねた長い黒髪は湿り気を帯びている。吐く息は白く、ぬけるような白肌は寒さで青ざめて見えた。冷えた手を温めようとこすり合せるが、(かじか)んだ両手はほとんど感覚を失ってしまっている。  すでに到着しているはずのバスは一向に来る気配は無く、しかし今いる場所から家まで歩ける距離ではないので、このまま辛抱強く待つより他はない。     
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