冥王星

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足首までの浅瀬の河で私は立っていました。何をする訳でも無く、ただ、立っていました。冬の事でしたから、骨に染み入って来る様な寒さでだんだん身体が冷えている事を私は知っていました、周りには人はおらず、あるのは木だけでした、空は鈍く重くて曇っていました、私は腕に付けた時計を目の前に持ってきて二分ぐらい時計の音を聞いていました。ばね仕掛けの人形の様に私はバシャバシャと浅瀬の河を走りました、そして陸に着くと置いていた靴下を履いて靴を履きました、濡れいている足を暖めるには些か役不足でした、ジュクジュクと聞こえてきそうな不快な靴の中を妄想しながら私は家へと帰りました、家には私しかいませんでした。テレビの電源を付けた後ゆっくりと膝掛け椅子に座ってテレビを聞いていました、テレビの声はこう言っていました「太陽系から除外された冥王星が帰って来るかもしれません」そう落ち着いた声でしかし熱気している様な子供の様な声で喋っていました、私は実の所冥王星なんかどうでも良かったのです、何故なら私に関係がないことなんですから、私は足が温まった事を確認すると新しい靴下を履いて、靴を変えて外に出ました、外に行って丁度良い柔らかさの草原に
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