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祐真は口ごもる。
「ちょっと言い出せなくて……。そんなにひどいのか? 確かに異常だけど」
「うん。これは間違いなく『淫魔術』が使われているね」
「淫魔術?」
「そう」
そこまで言うと、蝙蝠は、祐真の制服の首筋部分に潜り込んだ。くすぐったく、思わず身震いする。
首筋から、声が聞こえた。
「とにかく説明は後。ここを離れよう」
リコに促され、祐真はトイレの入り口に向かう。入り口には、鴨志田がいるが、気にせず真横を通り抜けようとした。
祐真が一人でトイレから出てきた姿を見て、鴨志田は驚いた表情をする。
「おい!」
鴨志田が祐真を呼び止めるが、祐真は無視をして、廊下を進んでいく。
祐真は、トイレから一定距離離れた所にある窓際で立ち止まった。外を眺めながら、制服の中に潜り込んでいる蝙蝠に話しかける。
「さっき言ってた淫魔術って何だよ」
「魔術の一つさ」
「お前が使っているやつと同じか?」
「ちょっと違う。僕のは『黒魔術』この学校を襲っているのが『淫魔術』」
「どういうことだ?」
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