全世界BL計画

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 祐真はそう返事をすると、その場にしゃがみ込む。今は、屋上への出入り口が設置されている塔屋の裏側にいた。ここは他の棟からは死角になり、面している部分は運動場であるため、身を出さない限り、自分の姿が他者から目撃される心配はなかった。  「それで、首謀者は誰だ?」  誰にも聞こえないはずだが、祐真は思わず声をひそめて話しかける。  「それはわからない。だけど淫魔であることは間違いがないよ」  「さっき言ってた淫魔術ってやつで判断したのか?」  「そう。淫魔術が使えるのは、サキュバスかインキュバスくらいのものだから」  「そもそも、その淫魔術ってなんだ?」  「他者を魅了したり、精力を増強させたり、感度を増したり、淫魔が生まれつき保有している魔術のことだよ」  実に淫魔らしい能力だった。確かに、淫魔術の性質さえ知っていれば、何となく出所の検討が付いてしまう。  祐真は続けて質問する。  「廊下で言ってた、使っている魔術が違うってどういうこと?」  「僕が使っているのは黒魔術。攻撃したり、肉体を強化したりできる。その一貫で、かけられた魔術もある程度なら、攻撃して解除できるよ」  「なるほど」  祐真は相槌を打つ。そして、不思議な感覚に襲われる。魔術やら黒魔術という単語が当たり前のように交わされると、ゲームの中の登場人物になったみたいだ。  リコは続けて言う。  「淫魔の中にも淫魔術、黒魔術など複数の魔術が使える者もいるから、要注意だ」     
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