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昼休みが終わりに近付いた頃、捜索を終えた祐真は、教室へと戻った。淫魔を捜索する、という漫画やアニメのキャラクターの真似事は、予想以上に祐真の神経を削った。捜索対象の淫魔はいわゆる敵である。リコの使い魔が守ってくれているとは言え、いつ何時こちらの正体がばれてしまい、相手に襲われるかわからないのだ。それに加え、学校に蔓延している異常事態を解決するといった、重要とも言える任務も帯びている。少なからずプレッシャーが心にかかっていた。
そしてそれ以上に、神経を削がれる要因が一つあった。
それは、あまりにも、男子生徒同士のカップルが増加していることだった。
もうすでに、全男子生徒の九割近くが、男同士のカップルとして変貌を遂げていた。そうではない男子生徒の方が、むしろ極少数である。そしてその彼らが、右を見ても左を見ても存在しているのだ。
少数だった時はまだ耐えられたのだが、ここまで増えると、なかなかきついものがある。異様な環境に身を置いていると、沼地に足を取られるかのごとく、神経が磨り減っていく。
一刻も早く、この問題を解決しなければならないと思えた。
自身の席に着いた祐真は、どっと疲れを感じた。もうすぐ昼休みは終わるが、それまで眠ろうかと思う。絡む相手もいないし。
そう判断し、机に顔を伏せようとしたところで、クラスメイトの女子が話しかけてきた。彩香以外の女子が声をかけてくるのは、珍しい気がする。
「羽月君、あなたは他の男子と付き合わないんだ?」
祐真はその女子の顔を見た。篠原楓という名前の女子だったと思う。彩香と仲が良いグループの内の一人だ。普段は祐真など関わろうともしていなかった女子だ。
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