全世界BL計画

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 自分の与り知らぬところで、女子達がおかしな噂でも立てているのかもしれない。祐真は不安になる。普段、女子とは接点がないため、情報が入ってこなかった。女子とほとんどコミュニケーションを取ってこなかったことに対し、少し後悔の念が生まれる。  「楓ー。祐真君と何の話をしているの?」  横から声がかかる。そちらに目を向けると、つい今しがた名前の上がった彩香が、自分の席へと戻ってきたところだった。彩香の隣には、もう一人女子が連れたっていた。これまた、同じグループの一員だ。  篠原は、彩香に答える。  「ほら、前言ってた羽月君が同性愛者にならない話。それを訊いてたの」  彩香は納得したように頷きながら、祐真の席の側までやってきた。連れ立っている女子も同じように並ぶ。  期せずして、女子に囲まれる形になった祐真は、戸惑いを覚えた。  彩香は祐真を見下ろしながら、口を開く。  「そうなんだよねー。どうして祐真君は無事なのかな?」  彩香は、射抜くような目を祐真に向ける。そこに、少しだが、なぜか咎めるような感情が込められているような気がした。  祐真は、制服の中にいる蝙蝠を介して、リコがこの会話を聞いていることを意識しつつ、肩をすくめる。  「さっきにも篠原さんに言ったけど、俺にもわからないよ」  彩香は、目尻を上げた。  「そう? 誰からも口説かれていない?」     
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