全世界BL計画

54/70
前へ
/128ページ
次へ
 彩香は祐真の肩を馴れ馴れしく叩く。両隣の女子二人も、おかしそうに笑う。  そして三人は、祐真の席を離れていった。  授業が始まってからも、心の中に生まれた違和感は、消えなかった。  その後、祐真は、午後の休み時間を使い、淫魔捜索を続行した。  残った三年生の教室を調べた後、該当する淫魔が発見できなかったため、職員室さえチェックする。それでも成果は芳しくなかった。  放課後、部活動に勤しむ生徒達も見て回る。この辺りはほぼこれまでチェックした生徒と被っているだろうが、取りこぼしを懸念してのものだ。しかし、これすら該当者なし。  日が落ち始めた頃に、祐真は、リコの帰宅を促す言葉により、捜索を切り上げることにした。  帰宅した祐真に、リコはこう結論付けた。  「おそらく、学校内にはいないね」  そして、リコは、祐真に付けていた蝙蝠を消滅させる。  「じゃあどこにいるんだよ」  「言ったろ? わからないって。だけど、学校内にいないことはほぼ確定だ。しかし、それはそれで、どこかおかしい」  リコは浮かない顔をした。大理石のような綺麗な肌に、影が差す。  「どうおかしいんだ?」  祐真は帰宅時の制服のまま、畳に座る。リコも、ほとんど出来上がってはいるが、夕食の準備を中断し、祐真の前に座っていた。     
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加