全世界BL計画

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 「そうだよ。結局は相手の淫魔は精を吸ってくるはずだ」  説明を聞きながら、不思議に思う。リコはそう言っているが、自分は精を吸われていない。常に拒否をしているからだ。そのパターンもあるのかもしれない。  祐真は、そのことについて質問を行う。リコは冗談っぽく口角を上げた。  「僕は特別なんだよ。祐真が許可しない限り、精は吸わない。だから例外として扱って欲しいな」  「つまり、他の同性愛の淫魔は、無理矢理にでも吸うんだ」  「うん。淫魔術を使ってね。同性愛の淫魔に限らず、全ての淫魔がそんな行動を取るはずだよ」  祐真は、以前リコから聞いた言葉を思い出す。  「そう言えば、お前は使えないらしいね。淫魔術」  「まあね」  リコは肩をすくめる。  祐真は、さらに質問しようとしたが、リコは元の説明に戻った。それは核心へと触れるものだった。  「つまり何度も言うように、召喚主は精を吸われているはず。そしてその痕跡は確実に残る。それを踏まえて、チェックした」  祐真はその場で身を乗り出し、リコに訊く。  「それで、その人間は誰?」  リコは溜息をついて、天を仰ぐ仕草をする。  「その痕跡がある者はいなかった。つまり、あの学校には、淫魔のみならず、召喚主すらいないんだよ」     
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