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それを聞き、祐真の中に疑問が一気に噴出する。
「それって変だろ。じゃなんであんなおかしな現象が学校だけで起きてるんだよ」
リコは、両手をヒラヒラと振った。白子のような細長い指が揺れる。
「それが不思議なんだ。残るは完全な部外者が引き起こした可能性しかない」
「……」
確かに、淫魔や召喚主の該当者がいないとすると、その結論に達するのは当然の帰結と言えた。しかし、それだと、どこか釈然としない。
黙り込んだ祐真を、リコが覗き込む。
「祐真の見た人物の中で、怪しいと思う者はいるかい?」
リコに聞かれ、祐真の脳裏に、数名の該当者の姿が思う浮かぶ。その中の一人を口に出した。
「古里は? そう言えば、あいつと鴨志田が一番最初に同性愛者になったような気がする」
リコは首を振った。
「彼は違うね。完全に術に汚染された被害者だった。淫魔に精を吸われていれば、もっと違った淫魔術の痕跡が残るはず」
一番のクロだと思える人物が、あっさりと否定されてしまった。しかし、そうなると、誰だろう。
祐真はもう一人の名前を言った。
「横井さんは? 横井彩香」
リコの眉根が動く。
「ああ、あの同性愛を歓迎していた子?」
「そう」
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