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明確な証拠があるわけではないが、怪しい言動を行っていた。他にも男の同性愛を迎合している女子はいるが、彩香は特に顕著だ。
「あの子、祐真も同性愛に目覚めると言ってたね。どう? ここは期待に応えて、僕とカップルになってみるかい?」
リコは艶かしくウィンクする。祐真はうんざりしながら、鋭く咎めた。
「ふざけていないで答えろよ」
リコは小さく肩をすくめ、答える。
「彼女もシロだよ。淫魔の痕跡なんて微塵もなかった。さっきも言ったように、召喚主は、ほぼ確実に淫魔から精を吸われるはずだから、いくら巧妙に隠しても、確実にわかる」
彩香も該当しないとなると、後は誰だろうか。祐真は再び考え込む。
他にも思い当たる人物はいるものの、そのような目で見れば誰でも怪しく思えてくる。言い換えれば、全校生徒のみならず、教師までもが容疑者なのだ。これでは特定など困難であった。
それとも、リコの言う通り、淫魔や召喚主共に、完全に学校外の人間なのだろうか。その場合、その者を探知できる術はあるのか。
リコにそのことを訊いてみると、リコは悟ったような表情で答えた。
「魔術の中には、確かに魔術の痕跡を探知できるタイプのものもあるけど、僕は使えないよ。それができるなら、今日それを使ってたさ。学校と学校内で方法が変わるわけがないんだから」
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