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彩香は自室にて、パソコン画面のキャンパスウィンドウ内へ、漫画を描き込み続けていた。
自分でも驚くほど筆が進んでいる。一種の過集中状態と言うべきか、とどまることを知らない暴走列車のように、休むことなく作業を継続していた。学校から帰って、かれこれ六時間だろうか。
ユーリーが作った夕食もまだ手付かずである。さきほど『食事』に出掛けたユーリーが、気を利かせてラップで包んでくれたが、まだ食べられそうにない。食欲がまるでないのだ。おそらくは空腹なのだが、『描きたい』という欲求が食欲を上回り、摂食中枢を麻痺させているのだろう。
これはすごい。すごいぞ私。
今描いている漫画は、二作目である。以前描いていた社会人同士のBL漫画はすでに完成し、漫画投稿サイトへアップロードしてあった。
それも今のようにブーストされた状態で仕上げたものだ。自身としても傑作であり、評価も今までにないほど多く貰えた。
そして、今回の作品はそれをさらに上回るものだと自負している。驚くほどの集中に加え、湯水のようにアイディアが溢れ出てくるのだ。もしかしたら、何か大きな賞でも取れるかもしれない。
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