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だが、祐真は窓の外を眺めたまま、微動だにしなかった。眠っているわけではなさそうだ。心ここにあらず、といった感じだ。一人ぼっちになったことが、そんなに堪えているのかな?
「彩香、どうしたの?」
楓が不思議そうに訊いてきた。彩香は慌ててかぶりを振る。
「ううん。何でもないよ」
彩香は取り繕いつつ、再度祐真を確認する。やはり何かに気が付いた様子はない。
それから彩香は、その場で楓と如何にBLが素晴らしいか語らった。もう男子は全員BL化しているので、気を使う必要もなかった。
唯一BL化していない祐真に聞こえるように、意図的に声を大きくするが、始業のベルが鳴るまで、祐真は始め見た時からの姿勢を崩さなかった。
休み時間、彩香は祐真に話しかけた。
「祐真君、朝から何か考え込んでいるみたいだけど、どうしたの?」
相も変わらず空虚な祐真は、彩香の質問に、何度か瞬きをして答える。
「別に何でもないよ」
「本当? ぼんやりしてたから気になって」
「ちょっと眠いだけだよ。昨日遅くに寝たからさ」
祐真も自分と同じように、寝不足らしい。それなら上の空であることも頷ける。しかし、それだけが理由ではないだろう。やはり独りぼっちになったことが、精神面に影響を与えているはずだ。
「そうなんだ」
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