召喚

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 そのまま無視しようとしたが、なぜかそれはできなかった。どうにも気になる。祐真は、その本を引き出した。  本は全体が赤い皮で覆われ、金色の文字が印字されてある。遠目ではただのハードカバーのように見えたが、こうして手に取って見ると、アンティークものの高い書物のように思えた。  中を開く。最初のページに、マイクロビキニのような露出の高い服を着た、十代後半ほどの美少女の絵が描かれていた。美少女にはヤギのような角と、蝙蝠のような羽が生えている。きわどい部分は上手く隠されてはいるものの、ほとんど全裸であり、扇情的だ。現代の萌え絵に近い。  さらにページをめくってみる。この本の解説があり、全て日本語で書かれてあった。翻訳したような不自然さがないのは、これが日本で製作されたからなのか。  さらにざっとページを捲っていく。途中、召喚の方法だろうか、挿絵での解説が描かれたページがあった。  そして、中央付近のページに、妙な文言が一文書かれてることを発見する。非常に目立たず、見逃すところだった。  『召喚した存在を秘匿すること。破れば罰がある』  召喚の際のルールか何かを説明した文章らしかった。なぜこんな目立たない箇所に書かれてあるかわからないが、意味も理解できないので、祐真は気にせず読み進める。     
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