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翔の家の車に乗って車しか出入りが出来ないという翔の家へと向かった。
「もうすぐだ…」
聖は車の窓から外を見ると都内では有名な屋敷についた。
「ここは…翠川財閥の豪邸…」
「知っていたのか…翠川財閥を」
すると車は翠川財閥の敷地内の屋敷からかなり離れた地下駐車場のような所に入った。
「駐車場も屋敷の遠くに置くなんてかなりの財力なのか…」
聖が喋る間翔は黙ったまま無言でただ1点を見つめて言った。
「じきに分かる…」
かなりの距離車を進めると急に車は真っ暗な場所に止まった。
「着いたぞ…」
「着いたって…ここは地下水路じゃないのか?」
すると、翔は地下水路の隣にある重くて硬そうな鉄の扉を開けて聖に言った。
「これが…僕の家だ」
「なん…だっ…て…?」
聖は圧倒されながらゆっくりゆっくりと歩を進めて部屋の中に入ると翔は重たい鉄の扉を閉めた。
聖は周りを見渡すと監獄の様な鉄格子に小さなボロボロの木の机に硬そうなベッドまさに監獄に来た様な気分になった。
「君は翠川財閥の奴隷にでもなってるのか?」
そう言うと翔は笑いながら言った。
「はははっ!確かにそうかもな…奴隷なのかもな…」
「そんな…」
翔は腕組みをしながら聖に説明し始めた。
「俺はオメガなのは分かっているだろ?オメガがどういう扱いを受けるのかも知っているだろ?」
「まぁ…そうだな」
そういいながら聖は顔をそっぽに向けた。
翔はそんな聖を見ながら説明を続けた。
「そんな蔑まれる存在が財閥という大きな組織にいたらこの世の中ではスクープだ!だからこうやっているものも存在自体ないことにすることだってできるんだよ…」
「そんな……」
聖は自分の置かれている状況よりも翔の状況の方が遥かに酷く荒んでいたのにも関わらず、助けを求めた自分を悔いながら涙を流した。
翔は机を触りながら聖に言った。
「俺はここで死なずに生きれていることだけでよかった……でも聖…お前に出会ってしまった…だから…だから…俺は欲張りになってしまったんだ…自由が欲しくなったんだ…」
翔はニコリと笑いながら目には涙を浮かべていた。
そんな翔を見て聖は手をギュッと握って答えた。
「ここから逃げよう!翔が言ったように2人で…どこかに…」
「あぁ……」
そう2人は誓い合いながらギュッと互いの手を握りしめた。
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