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第5話 自由を求めて
2人は手を繋ぎながら重たい扉を2人で押して監獄のような翔の部屋から飛び出した。
幸いにも翔の家は雑木林に近く抜け出しやすい環境になっていた。
「ここが役に立つ日が来るとは思わなかったな」
聖は翔に聞いた。
「この道は?」
翔は笑いながら言った。
「ここは俺がこの家から無断で抜け出せる様に子供の頃に作った道だが、1度見つかってそこから雑木林にいい思い出がなくて近寄らなくなったんだ…」
聖は疑問を口にしてしまった。
「近寄らなく…なった…?」
翔はニコッと笑いながら言った。
「理由が知りたいのか?」
聖は慌てながら言った。
「いゃ!!そんなわけじゃ…」
翔は聖に背中を向けて狭い道を進みながら言った。
「ここで俺は犯されたんだ…父親の仕事の接待として父親の仕事先の社長に売られたんだ逃げようとした罰にな…」
聖は翔の背中を見ながら申し訳ない気持ちで言った。
「なんか…ごめん…」
翔は振り向いて聖の頬を引っ張りながら言った。
「過去は過去の話、今は聖と居られる未来を見てるから気にしてないさ」
そう言いながら翔はまた笑った。
2人でそんな話をしている間に家の外から雑木林を抜けて一般道へと辿りついた。
「やっと…抜けたか…」
翔が息を荒くしながら言った。
「そうみたいだね…で?これからどうするの?」
すると、翔は言った。
「車を借りて遠くにある僕の別荘に行く…」
聖は驚いた顔をして言った。
「別荘?!翔が持ってるの?」
翔は腕を組みながら言った。
「あぁ、何かがあった時の為に一応な…」
そう言いながら2人は翔が所有する別荘に逃げる事にした。
何もかもを捨てて……
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