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自分の運命の番を見つけた2人は互いに惹かれ合うように腕を掴んだ。
「君が僕の運命の番…」
「あなたが私の運命の番ですか…」
ドキドキ高まる気持ちとは逆に恐怖感も増してきた。
どこの誰かも分からないどんなやつかも知らないけれど一目惚れよりももっと深い愛を見ず知らずの人に持っている自分の感情が怖くて仕方なかった。
点滅する信号を見て聖は言った。
「まず…信号渡りませんか?」
その言葉に翔が返事をした。
「あぁ…」
信号を渡り切ると、聖は翔に言った。
「少し人目を避けた個室に行きませんか?」
すると、翔の目付きが変わった。
「運命だがなんだか知らないが…僕を犯すつもりなんだろ!失せろ!」
そう言いながら翔は聖の手を解いた。
翔が手を解いたのには他にも理由があった。
「(くそっ…こんな時に…)」
すると、聖は翔に肩を貸した。
「何すんだよ!」
すると、聖は翔に小声で耳打ちした。
「私に出会ってしまって突発的に発情期が起きたんでしょ?」
翔は驚いた顔を見せた。
「君…なんで?」
「一応医者を目指していた時期がありましたのでね、知識はあるんですよ…」
聖はどんどん火照る翔を見ておんぶをしてすぐ近くのホテルに駆け込んだ。
翔は余裕がない中聖の背中の上で暴れていた。
「やめ…ろよ…おせっかい野郎!はぁ…っ…はぁ…」
背中の上で暴れる翔に聖が一喝入れた。
「静かにしなさい!」
そう言いながら部屋に入り扉と鍵を閉めると、聖は背負っていた荒ぶる翔をベッドに投げつけた。
「そのベッドの上で大人しくしておきなさい!」
そう言いながら聖はため息をついた。
もう、反論する余裕すらなくなった翔はベッドに転がりホテルの引き出しを開け始めた。
「何してるんですか!」
すると、緩んだ声で翔が言った。
「み…見るなぁ…」
そう言われた聖は翔に背を向けた。
背を向けながら聖は翔に言った。
「多分私に会ってしまったのでいつもより発情期の匂いも激しく、期間も長いと思いますので…知識がある人がそばにいた方が安心でしょうし、何かの縁なので期間が終わるまで私はここにいますよ…手は出しませんから…」
そう、聖は胸を張って言ったがオメガの発情期で運命の番の匂いなんかとても我慢できるはずないと気づいていたが、意地でも手を出さない様にと舌をかみ続けた。
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