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聖は一旦家に戻ることにした。
すると、マンションのロビーに数人の女性がいた。
「あの…」
そういじらしく聖に何かを渡そうとする数人の女達を無視して通り過ぎるとマンションの自動扉が閉まった。
「またか…」
そう呟く聖の後ろで聞こえたのは女達の大きな舌打ちの音だった。
「はぁ…」
アルファである聖に近づいてくるのは金目当ての女子が毎日のように押しかけ玉の輿を狙う為に毎日マンションのロビーで待っていた。
自分の家に帰ると玄関の扉が勢いよく開いた。
「おかえり!」
「母さん…何?」
聖は嫌な顔をしながら言うと母親は手を出しながら言った。
「はい!」
そう言われた聖は決まっていたかのように封筒を渡した。
そして、母親はお札を数えながら卑しく笑いながら聖に言った。
「またよろしくねー金づる…」
そう言いながら金を持ちながら母親は消えた。
聖はため息をつきながら自分の家に入りあらゆる場所を鍵で閉め切り鍵の上から南京錠を施錠した。
「はぁ…」
そう言いながら聖はベッドに倒れこんだ…。
聖は小さい頃から勉強は人一倍頑張り、学年1位をずっと取り続けていたが、アルファ性であるため認められることなんてなかった、それどころか、恨まれることしか無かった。
成人になり仕事をするようになっても人徳に恵まれることはなく、恨み、妬まれ、自分自身ではなく金づるとしてしか見られなくなった。
聖が出世していくにつれて家族は金、ギャンブルに溺れるようになり結局離散した…。
そうして聖に母親は毎日金をせびりに来るようになった。
聖はベッドに寝転びながら言った。
「そう、本当の僕の居場所は…もうないんだ…」
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