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第3話 惹かれる幻想
翔はいつものように冷たく硬いベッドの上で目が覚めた。
翔は思い出したかのように自分の手と足を見ると手錠と足枷がついていた。
「あぁ…そうだったな」
そう言いながら片方ずつ自分の手錠を外し足枷も外し翔は電話を手に取ろうとした瞬間に自分の携帯が鳴った。
(プルルルル…)
「誰だ?」
その着信画面には知らない番号が記されていた。
いつもなら出ないはずの電話に翔は何となく出て見た。
「もしもし?」
すると、どこかで聞いた事のある声が聞こえた。
「もしもし…」
その声に反応して翔の身体が熱くなり始めた。
「なんであんたが、俺の携帯の番号を!」
すると、携帯の奥で少し寂しそうに呟く聖の声がした。
「あぁ…それね…君が寝てる間にもしもの時の為に携帯に入れてたんだよ」
「何してるんだよ!」
翔は携帯電話越しに聖に怒鳴りつけるとその声の奥から小さく声が聞こえた。
「君もそうやって僕を拒むんだね……」
そう言って聖は電話を切った。
「なんだったんだ?」
翔は聖の最後の言葉が気になった。
「拒む……拒む?……拒む…か…」
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