千変万化の君

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一緒に帰っていてわかったことであるが、同じ学校の女子でここまで話の続く人はいない。そうして彼女と話すことにより彼女のたくさんの表情を見た。ドーナツが好きで、一番ミスドのチョコファッションが好きなんだ、と子どものような混じりけのない笑顔。地理オンチなのに知らない道を行きたがった挙げ句に迷って帰り道がわからなくなったときの困り顔。そして、彼女が両親のことを話すときに見せるあの寂しそうな顔。僕はそんな彼女のコロコロ変わる沢山の彼女の表情にも心を奪われたんだと思う。 彼女から「おめでとう」のメッセージがきた時はすごくうれしかった。だけど欲張りな僕はそれじゃ満足しない。僕は意を決して「直接言ってほしい」と返信をした。彼女からの返事は「じゃあ私の家の前に来て」というものだった。僕は急いで外に出掛ける準備をした。 家を出て、鍵を閉めているときに思ったのだが吐く息が白い。やはり12月になると気温がグッと下がるんだなと思った。 僕の家から彼女の家まではそう遠くない。自転車なら2分から3分、歩いても5分もかからないんじゃないかと思う。僕は歩いて彼女の家まで向かうことに決めた。もしかしたらそのままどこか散歩にでも行けたらいいな、と思ったからだ。 彼女の家の前に着くと彼女はすでに家の前で待っていた。ベージュのコートを着ていてそれが彼女にはとても似合っていた。彼女は僕を見つけるやいなやこっちに向かってきた。そして 「授賞おめでとう!」     
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