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向かいに座る男性を
恐る恐る盗み見ると
モデルかと思える程端正な面立ち
スーツの上からでも想像できる
鍛えられた身体のライン
それと真逆に
顎を触っている手は
女性の様に長くて美しい
大きなソファに脚を組んで座りながら
僅かに上がる口角が美しくて怖い印象を作っていて
笑っているのに恐怖しか感じない
「確認出来たらサインしてね」
一平さんが隣に座ってサインを促すけれど
思考が停止したかのように動けなかった
「サインしろ」
目の前から届く声は低くて強い
「・・・・・・あ、・・・あの・・」
頭の中に浮遊する言葉が
上手く口から出ない
「サインする以外の選択肢は与えられない」
トドメとも思える声が響いた
威圧感のある空間
周りの男達は部下だろうか
目の前に座るソファの両脇に立つ男性
背後に立つ男性
ここにいる全ての人が
テーブルの上の一枚の紙に視線を注いでいる
少し涙の滲む目が
並ぶ文字を揺らし
決心がつかない
制服のスカートの裾をギュッと掴んでいた震える手を
なんとか伸ばしてその紙を取ると
間近で確認するように引き寄せた
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