7802人が本棚に入れています
本棚に追加
/94ページ
その二人が頭を下げて襖を開くと
「碧斗!連れてきたよ」
一平さんは俯いたままの私の肩を持ち前へと押し出した
「チッ」
部屋の中央に鎮座する大きなソファに座っている男性が
ギシッと音を立てて立ち上がると
部屋の空気が一瞬で冷たく凍った
・・・・・・怖い
「一平!触んな」
よく通る低い声が響き
解れかけていた緊張が甦る
「ほら、大きな声を出すから
陽菜ちゃん震えてるじゃん」
恐ろしく空気の読めない人なの?
一平さんは張り詰めた空気の中へ
私を投げ込んだ
・・・間違いなくヤクザですよね?
それ以外の選択肢があれば
教えて欲しいと思えるほど
怖い面子に感心すら覚える自分がいた
それより
・・・・・・どうして?
目の前のガラステーブルに置かれた
白い紙を見ながら
更に小刻みに震え出す身体
・・・絶体絶命
そんな言葉が頭を巡った
最初のコメントを投稿しよう!