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「いつも貴女の隣りに座っていた人を覚えてる?」彼女は何気ない様子で聞いた。
「ええ、最近見てなくて」
机の上に彼が選んでほしいと言ったネックレスとプリザードフラワーが置かれた。
「これは…」私は驚いて言った。
「実は貴女の隣りに座っていた人は私の弟なの」
「これは妹さんのお祝いにって」
彼女はふっと1つ息をつくと話し始めた。
「妹なんていないのよ、私と弟の二人だけ。彼は今病と闘っているんだけど、危ない状況なの。それで、私に貴女への想いと品物を託したの」
彼は中学生だった私を見て、高校生だった私も見て、大学生になった私もずっと見ていた。そして図書館にいる私に声をかけた。ずっと好きだった愛していたと…
そう言った彼女の目から涙がこぼれた。
図書館から出ると陽が射した雪景色が眩しい。頬を流れる涙を拭うこともせず歩く私の手にはブリザードフラワーとネックレスがあった。
その翌日から行き先は図書館ではなく、病院になった。
集中治療室で、意識のない彼の手を握り話す。
「良くなって、私はあなたを愛しているの」
やがて春が来ようとしていた。
電話が鳴った。
「弟がとうとう逝ってしまったわ」
そんな夢を見て目が覚めた。枕は涙で濡れていた。
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