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タケルはメリッサがいた位置まで引き返すと、また先頭に立って、今度はサキを目指してジャングルを掻き分けて進んだ。数メートル程進むと、急に視界が開けた。そこはジャングルを流れる小さな小川だった。サキはその小川の畔に居た。サキはその畔に生茂る雑草の上で、辛うじてバランスを取っている赤外線スコープを拾おうとしている様だった。
「サキ、早く戻って来い」
タケルはサキに向かって呼び掛けた。
「もう少しだから・・・」
サキが伸ばした手は赤外線スコープまで後数センチの距離にあった。サキが必死に伸ばした手が赤外線スコープに触れた。
「よーし、もう一息」
サキは更に手を伸ばした。なんだか辺りが急に暗くなったような気がした。
「一雨来るのかな・・・」
そう思って、空の様子を伺おうと上を見上げて腰を抜かした。
「危ないサキ」
タケルはサキの手をグイと引っ張ると、大急ぎで駆け出した。
サキが後ろを振り返ると、そこには人の身長の数倍はあろうかとも思われる巨大な肉食恐竜の姿があった。
「恐竜だ。追ってくる。早く、早く逃げろ」
タケルはメリッサ達に追い打ちをかけるように捲し立てた。
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