第五章 恐竜の惑星

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「さっ、行きましょう」  メリッサは皆の目が、これから向かおうとする新しい舞台への準備が整ったのを悟ったのか、ゆっくりとその巨大な建造物の方に向かって歩き始めた。タケル、モーガン、サキ、ゲイスの四人は、メリッサの背を追うように後に続いた。 「古代の神殿みたいだな」  モーガンはその巨大な建造物を見上げていた。 「マヤ文明の五階層ピラミッドに近いわね・・・」  サキもモーガンと同じく、その建造物を見上げていた。 「全く驚きだ。古代の神殿やピラミッドは石で出来ているが、この光る石は一体何だ。宝石か何か」 「宝石・・・」  ゲイスはモーガンのその言葉に敏感に反応した。 「あっ、そうだ」  サキはジャケットのポケットに手を突っ込むと、あのブローチを取り出して、手のひらの上に乗せた。ブローチも今ここにある巨大な建造物と同じように青い光を放っていた。 「このピラミッドも、このブローチも同じ物質で出来ているみたい」  サキは青白く光るブローチを見つめていた。 「サキ、なんでお前がメリッサのブローチを持っているのだ」  背後からゲイスの声が飛んできた。ゲイスはメリッサにプレゼントしたブローチを、サキが持っているのが気に食わないと言った態度を如実に表した。 「メリッサに返すのを忘れていた。メリッサ、ごめん」  サキはメリッサの方に駆け出そうとしていた。 「あげるよ、サキに」  メリッサは背を向けたまま、後ろ手に手を振った。 「サンキュー」  サキは手に持ったブローチを握りしめた。
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