第五章 恐竜の惑星

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「コトン」  何か小さなモノが床に落ちるような音が聞こえた。  サキは自分の手からブローチが床に落ちたのに気付いた。天井に気を取られ過ぎたせいか、ブローチを握りしめた手を緩めてしまったらしい。  サキは屈んで、床に落ちたブローチを拾おうと手を伸ばした。気のせいか、ブローチが落ちた場所の床の辺りだけが、周囲に比べて、より際立って光を発しているように感じられた。気になったサキは床に這いつくばるようにして、その光を発している床の先を目を凝らすようにして追った。  その光は筋となって、一本の線を描いているように思われた。 「どうした、サキ」  その様子に気が付いたタケルがサキの方に振り返った。 「この床、何かの模様が描かれるみたい」  サキは床の上に、他にもいくつかの光の筋があるのに気が付いた。 「よく分からんな。バレーボールやバスケットコートのラインか」  タケルは思いつくままの言葉を口にした。 「ここが、神殿じゃなくて、競技場か何かの娯楽施設だってことかい」  ゲイスはタケルの思いつきに調子を合わせてきた。  タケルはコンタクトカメラを右目に嵌めると、ジャケットから携帯型ワイヤーロープを取り出した。取り出した携帯型ワイヤーロープを右手で握ると、左手でロープの先を引っ張り、中のロープを引っ張り出した。
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