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「この柱をさ・・・」
タケルは柱を二、三、ポンポンと手で叩くと伸ばしたワイヤーロープを二重にして柱に巻き付いた。
「コンタクトカメラの映像をモニターで見ていてくれ」
タケルは皆にそう言うと、柱に巻き付けたローブの端を掴み、柱に体を密着させるようにすると、巻き付けたロープの反動を使って柱を登り始めた。
「うまいものだな、高木の高枝切り職人並みだな・・・」
モーガンはタケルのそのアクロバット並みの技に見とれていた。
タケルはやっとのことで柱の天井近くまで辿り着いた。それは優に床から三十メートルの高さにあった。タケルは柱を登って初めて下を見た。さすがのタケルもその高さに恐怖心を感じていたが、床面に広がるその光景はタケルの恐怖心を払拭するのに値するものであった。そこには、ナスカ平原の地上絵さながらの絵巻物が存在していた。はるか下に小さく見えるクルー達は、タケルの送る映像を覗き込んでいるようであった。
床全面を一通り見渡したタケルは、ロープを緩めて滑るように床に着地した。
「何かわかったか」
床に無事着地したタケルはクルー達の元に駆け寄った。
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