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「これは・・・」
背後からサキ達のモニターを覗き見ていたタケルが歩み寄った。
「何か気付いたのか、タケル」
ゲイスがタケルに振り返った。
「オメエも見ただろ」
タケルはゲイスに合意を促した。
「いつ、どこで、いったい何を・・・」
ゲイスは怪訝な顔をタケルに向けた。
「あのアーラ族の図書館で・・・」
「そうか、わかった」
「すまんが、二人がわかっても、私には何のことやら・・・」
モーガンはタケルとゲイスが二人だけで納得している姿に、不服そうな表情を向けた。
「アーラ族の図書館で古代の火星の書籍を見た。そこには同じ文字が記されていた」
タケルはサキが拡大したモニター上の文字を指さした。
「古代に火星人が存在して、この惑星に来たってこと」
サキがタケルに聞き直した。
「そうじゃねえ、彼らがこの惑星と火星に来たのだ」
「彼らって・・・」
「パクス族の祖先だよ」
「でもどうして、この惑星と火星に来たって言えるの」
「オレはその古代の火星の書籍で、この床に書いてあるのと同じ絵を確かに見た。この絵が彼らの惑星探索の記念の印であるなら、火星のそれも同様だ」
「そうだとすると、パクス族の祖先は百年前にこの地に来たっていうことね」
「百年前って」
「タケル、忘れていた。あのブローチの年代測定。おそらく、あのブローチはここで発見された。まだ確かな証拠は掴んでないけどね」
「今が西暦二一0三年だから、西暦二00三年にパクス族の祖先はこの惑星に居たってことか・・・」
「お話中、誠に恐縮なのだが・・・」
モーガンが話に熱中するタケルとサキの会話に割り込んだ。
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