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「壁が回転扉になっていたのか・・・」
その突然の出現に目を奪われたタケルは、手に持っていたハンカチを力なくその場に落し、吸い込まれるようにその中へと入って行った。
「じゃっ、オレ達も行くか」
ゲイスはタケルの後に続き、メリッサ、サキ、モーガンも後に続いた。
てっきり、何処か別の場所へ移動する抜け道かと期待していたが、壁の中のその場所は、周囲を囲まれた比較的小さな部屋だった。その小部屋には、天井まで届かんばかりの頑強な棚や、何か貴重な物が入っていたことを思わせる立派な金属性の箱が散らばっていた。
「ここは倉庫だったのか・・・」
タケルは思わず、物が好き放題に詰め込まれたようなその雑多な印象を口にした。
「たぶん、宝物庫よ」
メリッサは、棚の上を手の平でさっと撫でると、その手の平をタケル達に翳した。メリッサの手の平には、何かキラキラと光り輝く宝石のようなものが付着していた。その光は小さいながらも、ときめくような赤や青の光を放っていた。
「ちぇっ、お宝は盗人どもにやられちまった後か」
ゲイスはさも悔しそうに床を足で叩いて地団駄を踏んだ。その振動で揺れたのか、頑強そうな棚が「カタッ」と小さな音を立てた。
「おかしい」
ゲイスは棚の裏で、何か影のようなものが、瞬間、動いたように感じた。ゲイスは腰を屈めて、音のした棚の裏をそっと覗き見た。
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