第五章 恐竜の惑星

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「ようよう、キレイなネーちゃん」  その低い声男は、メリッサの額に冷たい銃口の先をピッタリと付けると、ゆっくりと撃鉄を引いた。その「カチ」という音が、緊張で張り詰めた室内に響いた。 「お前ら腹ばいになれ、この女がどうなっても知らんぞ」  男は息巻いて見せた。  タケルには、これから何が起こるのか、何が起ころうとしているか、そして、最悪の場合、それがどういう事態を招くかの予想は出来た。しかし、圧倒的に不利なこの形勢の中で、タケルに唯一出来ることは、時間を稼ぐことだけだった。  タケルは男の言葉に従わなかった。その気持ちを察したクルー達もまた。
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