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「言うとおりにしないか」
逆上したその男はクビをひねって、タケル達の方に顔を向けた。
そこに一瞬の隙が生まれた。その隙をメリッサは見逃さなかった。
メリッサは半身を反らして、右手で銃を持った男の手首を掴むと、自分の方に引き寄せた。男は前のめりになった。その前のめりになった男の顎にメリッサのアッパーキックが入った。男は体勢を崩した。メリッサは素早く男から銃を奪い取ると、男の片腕を後ろ手にねじ上げて、こめかみに銃口を突きつけた。
「やめろ、メリッサ」
タケルにはメリッサがこれから何をしようとしているかが分かった。
「ズバーン」
銃声と水分を大量に含む何かが破裂した様な音が響いた。
男の頭から大量の血が噴き出し、中の内容物が部屋のあちこちに飛び散った。その惨憺たる光景に衝撃を受けたのか、自分達のボスを瞬時にして失ったことへの戸惑いか、銃口をタケル達に向けていた三人の男達が一瞬のたじろぎを見せた。
メリッサはその彼らの動揺を捉えた。
「ドキューン、ドキューン、ドキューン」
三発の銃声が連続して響いたかと思うと、タケル達の前に立ちはだかっていた男たちは、次々と床に倒れていった。即死だった。メリッサはそれを見届けると、ゆっくりとその銃口を、最後に残った一人、ゲイスにブローチを売った男に向けた。
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