第五章 恐竜の惑星

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 タケル達は洞窟の出口付近に立っていた。タケルとゲイスは命乞いをする男に、助けてやる交換条件として採掘現場まで道案内をするように差し迫った。  案内を渋る男に、ゲイスは男が目前で体験したメリッサの恐ろしさを巧みに利用して、男の心に揺さぶりを掛けた。あること、ないことを誇大に付け加えて。もちろん、メリッサに聞かれないよう、男の耳元で囁くように。そして、メリッサから男の命を守れるのは、自分達だけだと説き伏せた。男は観念したのか、タケル達を採掘場所までの道案内することを承諾した。両手を後ろ手に縛られたまま、男は神殿からの抜け道を抜け、そして今やっと、その終点に達していた。  薄暗い洞窟を歩き過ぎて、目が暗闇に慣れきってしまったせいか、洞窟の出口から差し込むその日差しは、あまりにも眩しく、直視するのが困難であった。でも、同時にその日差しは、無事に洞窟から脱出出来た事をタケル達に実感させるものであり、その暖かさは疲弊した身体に活力を呼び覚ますものであった。
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