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「おーい、ゲイス。どこにいる」
タケルが大声で叫んだ。すると、「タケル、ここだ」と言う声が背後から聞こえて来た。
その声を便りにタケルが振り返ると、砂の中から頭を突き出した岩の上から、手を振るゲイスの姿が目に入った。タケルは道案内役の男を引き連れて、ゲイスの元に駆け寄った。
「どこに行っていた。心配したぞ。他の皆も無事か」
タケルはゲイスと会えたことの安堵感と、皆の姿が見あらない不安感の入り混じった表情を見せた。
「皆、ここにいるよ」
ゲイスのその言葉に答えるように、岩の陰から、メリッサ、サキ、モーガンが次々と姿を現した。
「すまねえ、タケル。実はな・・・」
「実は何だ」タケルは首を傾げた。
「実は、サキが急にウンコしたいって言い出したもので・・・」
「ウ・ン・コ」
タケルには、その唐突に飛び出した単語が、何を意味するのかピンと来なかった。
「ここは見渡す限りの砂の大平原だろ。ウンコするにも身の隠し場所がねえ。そんなわけで、うら若き乙女のサキが、安心してウンコ出来る場所を探していたってわけよ」
「なんで、一言、言ってくれなかった」
「サキのウンコの話をか」
「そうじゃなくて・・・」
「もう心配するなって。サキもウンコして、スッキリしたから。なっ、なっ、サキ」
ゲイスはサキに同意を求めるようにサキの方を見た。
「もういい」サキは顔を真っ赤にして俯いていた。
怒っているようにも、恥ずかしがっているようにも見えた。ただ一つ確かなことは、ゲイスの言葉とは裏腹にサキはスッキリしていない様だった。
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