第五章 恐竜の惑星

39/81
前へ
/296ページ
次へ
「ここだ」  案内役の男は足を止めると、顎でタケルに下を見るように促した。タケル達は崖の上に立っていた。タケルは、崖の上から眼下に広がる景色を、男に言われるままにまじまじと眺めた。  中央にある二階建て程の建物を囲むかのように、左右に対象的な光景が広がっていた。建物の左手前には、居住区や倉庫らしき建物が並び、その奥には、あの輸送船と戦闘用ヘリが数機止まっていた。反対に建物の右手には、採掘用ロボットや、鉱石を山積みした運搬車両が激しく行き来する姿があった。そして、その周囲を切り立った崖が、自然の要塞にようにコの字型に取り囲んでいた。コの字型の崖を目で追うと、足元に辿り着いた。タケルはそのコの字型の崖の底辺に居ることに気付かされた。  唯一、自然の要塞が守れなかったコの字型の空白地帯には、サバンナのような大地が延々と広がっていた。その光景は、まさしく、ここがタケル達の探し求めていた目的地であることを語っているかの様であった。
/296ページ

最初のコメントを投稿しよう!

207人が本棚に入れています
本棚に追加