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『水瀬さんお疲れ様っす!今度さ~一緒にキャバクラ行こ♪いい子紹介するっから』
『そんな所に興味はありません。点検と備品のチェックして下さいよ…』
白い大型の夜行バスの星と月のエンブレムを撫で、呆れながら火宮の満面の笑みから溢れる瞳の視線を外した。
35歳の彼は何時も遊びの誘いばかりだけど、若いのに高速バスの運転技術は素晴らしい。
ふと、彼が呟いた言葉が耳に入るまでにその場からバス車内に乗り込んでいた。
『そう言えば、今日のお客さんでさ……何時もチップくれる人が梅田まで行くよ。水瀬さんがお気に入りでしょ?……野口さんって言ったっけ……名刺貰ったよね?………ん?』
火宮の何時もの口癖にうんざりしながらバスに乗り込み、車内の座席に毛布やビニール袋を手早く設置した。少しして整備士と点検している火宮を窓越しに見下ろしながら大きく溜め息を漏らした。
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