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でも、俺は好かれる要素なんて何もない。 皮肉屋の単なる普通の男だ。 「お前も、俺がいないと生きていけなくなればいい。」 「それじゃあ、まるで……。」 まるで、俺がいなければ生きていけないと言われている様だった。 だって、そんなことありえない。 「お前は、自分勝手だ。」 責任を取れ。と言ってそのまま首筋に噛みつかれる。 ピリリとした痛みに眉を顰めると、顔を離した蘇芳と目が合う。 やめて欲しい。 そんな顔をするのはやめて欲しかった。 本当にお前がいないと生きていけなくなったらどうしてくれるんだ。 「顔真っ赤ですね。」 「一々実況するな。」 「じゃあ、抱いてもいいですか?」 「はぁっ!?」 何を突然言っているんだ。 「俺はお前のことが好きだし、お前も俺のことが好きで抱かれたいと思ってるんだから問題ないでしょう?」 「いつ、俺がお前のことを好きだと言った。」 一年前確かに似たような事は言った。 けれどあれはお互いに無かったことになっていた筈だしそれ以降そんなことを言った覚えはない。 「じゃあ、今言え。」 俺を見下ろして真剣な表情で蘇芳が言う。 「俺のことが好きだから抱いてくださいって言え。」 命令口調なのに懇願しているみたいに聞こえる。 あーあ、と思った。     
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