番外編(蘇芳視点)

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それだけだった。 卒業をして、新たな環境でお互い別々に生きていくものだと思っていた。 そもそも、共通の話題もなかったし、お互いに一人が好きだ。 高校を卒業したら会わなくなってそれでおしまいだ。 お互いに口にしなくても茨木もそう思っていたに違いない。 でも、俺が駄目だった。 茨木が隣に居ない生活に耐えられなかったのだ。 水の無い場所で生きる魚の気分だった。 茨木のことを可愛いと思ったことも美しいと思ったことも無い。 けれど今は自分のものにしたいと思うし、茨木も、俺無しでは生きていけない様になればいいと思った。 そこで、ようやく、俺も茨木を愛してしまったことに気が付いた。 メッセージアプリで連絡を取ってみようと思って止めた。 彼の現在の居場所を確認することは簡単なことだ。 多分きっと、たとえ茨木は今でも俺のことが好きだとしても、自分のテリトリーに入られれば逃げるだろう。 漠然としてはいたが確信があった。 ならば、逃げる暇を与えなければいい。 そう決めると、俺は茨木の現在の居住地であるマンションへと向かった。 了
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