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「ですかね、じゃねえだろ。なんでそこでそういう話になるんだよ。
お前、思ったより疲れてるだろ。」
良く寝てそれでもだめなら医者にかかって欲しい。
そう伝えたつもりだった。
けれど帰ってきた言葉は
「でも、俺のこと抱きたいとは思ってるんですよね。」
そんな言葉だった。
頭が痛かった。
ため息をつくと、その音は思ったより室内に響く。
親衛隊も加害者扱いだったのでこちらも大概疲れていたのだと思う。
「俺は、お前に抱かれたいと思っているんだよ。」
吐き捨てるみたいに言った。
けれども、その直後、後悔に襲われる。
俺は何を言ってるんだ。黒歴史だ。馬鹿だ。
馬鹿正直に言って意味のあることじゃない。
明らかに、向こうに恋愛感情は無いし、自分より上背のある男に抱かれたいって言われても引くだけだろう。
「忘れろ。今すぐ俺の言ったことを忘れろ。
そして、自分が言った抱きたいってセリフがいかに引かれるものかってことを自覚しろ。」
一刻も早く全部終わりにしたくて、まくし立てる様に一気に言う。
蘇芳はじっと俺の顔を見た後、ぶはっと声をだして笑った。
そんなところを見たのは初めてで、それが俺を手のひらの上で転がすための演技なのか蘇芳の素の反応なのかは分かりかねたが、それでも楽しそうに笑っていた。
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