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せめてベッドで、なんて言葉を一生のうち一回でも言うことになるなんて思わなかった。 このくそ色気の無い部屋で、よくその気になると蘇芳を尊敬する。 生まれて初めてしたキスは、蘇芳の唇が思ったよりも柔らかくて、色々限界で泣くつもりは無かったのに思わず涙がこぼれた。 それを丁寧に拭った蘇芳も泣きそうな顔をしていて、お互いダセーななんて考える。 でも直ぐに、何度も、何度も息も碌にできない位、唇を触れ合わせて、舌を絡めて、吐き出す呼吸が顔に当たるのに慣れる位ずっと触れ合う。 頭がボーっとしてきて良く分からない。 ただ、相変わらず余裕のありそうな蘇芳がムカついた。 蘇芳の来ていたシャツを乱暴に脱がせると鎖骨に唇を寄せた。 でも、これは逆効果だったかもしれない。 蘇芳の体臭が鼻孔をくすぐって俺の方がおかしくなりそうだった。 性急に服を脱がせ合う。 裸を見ると、俺か蘇芳かがやっぱり無理だとなるかと思ったが全然そんなことも無く、二人して馬鹿みたいにおったててて、それで漸く安心した。 蘇芳の手が全身くまなく撫でる。 一生誰かが触ると思っていなかった尻に触れられて顔から火を噴くんじゃないかという位恥ずかしかった。     
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