居心地のいい場所

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居心地のいい場所

※蘇芳視点 茨木と恋人同士になって、存外茨木と過ごす事が心地よかったと改めて思う。 元々、密な付き合いがそれほど好きでは無かったし、態々二人で恋人同士で出かける様な場所に行きたいとは思わなかった。 それは、茨木も同じだった様で、どこかに行きたいと言われたことも無ければ不満そうな態度を取られたことは無い。 高校時代、学食で食事をしてそれで別れていたのが、外で食事をしてどちらかの家でぼんやりと話をしたり、DVDを見たり、それからお互いに本を読んだりそんな風に過ごす様に変わった位だ。 大抵、茨木は文庫本を鞄に入れていたので、俺の家で静かに本を開いて読んでいることが多い。 お互いに意味も無くテレビをつけることを好まなかったし、音楽の趣味は違いすぎた。 けれど、何も音のしない自分の部屋で、ほとんど会話も無いのにも関わらず特に息苦しさも無ければ気まずさも無い。 それは茨木も同じようで時々ぼんやりとこちらを眺めては、再び本へと視線を戻していた。 ブラックしか飲まない為、何も置いていなかった珈琲用の一式には、茨木の為のミルクと砂糖が加わった。     
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