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鶏頭
現代の日本の、どこかの地方の、どこかの町。
そこに、こじんまりとした骨董品店がありました。
名前は、「薄雪(うすゆき)骨董品店」。
オレンジ色の電球が店内を照らし、所狭しと様々な骨董品が並べられた、小さな小さな骨董品店です。
そこでは、二人の女の子が働いていました。
一人はいつもにこにこと浮かべた満面の笑みが眩しい、高校生ぐらいの女の子。
ポニーテールに纏めた栗色の髪と、優し気に垂れ下がった目が印象深い、どこか元気な大型犬を思わせる、そんな女の子です。
もう一人はどこかお人形さんの様な雰囲気を持つ、不敵な笑みを浮かべた、小学生ぐらいの女の子。
真っ黒なゴシックロリータ服と白い手袋、二―ソックスという肌が一切見えない姿で、真っ白で長い髪と、つり上がった目が…深紅の左目と青い右目が印象深い、そんな女の子です。
…さて、そんな薄雪骨董品店に、お客さんがやって来ました。
やって来たのは、びしっとスーツを着込み、がっしりとした体躯をした、壮年の男性。
何やら切羽詰まった顔で、からんころんとベルの鳴る薄雪骨董品店の扉を開きます。
「…あっ!いらっしゃいませーっ!」
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