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…事の次第を知った雪割は、それでも私を許した…一時の気の迷いと、許してくれたんだ。
…それに気を良くした私は、何度も…何度も他の女性と関係を持った。
雪割が許し、女性と関係を持ち、それをまた雪割が許し、再び女性と関係を持ち…五年が経ってようやく正気に戻った時には、私の女性関係はあまりにも酷い物になっていた。
…私はその後、雪割と離婚した。
…私に「さようなら」と言った雪割の顔を、私は今でも忘れない。
…雪割は、微笑んでいたんだ。
まるで、私の罪の全てを許すと言う様に。
…そうして私は、あの時の雪割の微笑みに少しでも贖う為に、こうして罪を償い続けているという訳だよ」
「……そう」
今まで長く沈黙していた燈子は、それだけを呟き、天都から託された本を手に取って、二階へと向かいます。
「てんちょー?どちらへ?」
「サイコメトリーをしに行くに決まっているでしょう?」
「本当かっ!?
本当にサイコメトリーをしてくれるのかっ!?」
「ええ。
…けれど、天都。覚悟しておきなさい。
この本に込められた想いを“視”て欲しいと願ったのは貴方…たとえ残酷で無慈悲な現実を突きつけられても、貴方には私達を責める権利も、送り主を責める権利も存在しないわ」
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