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二階に上がる燈子は、振り向く事無く、そう天都に告げて、
「…ああ。分かっている。
…それでも、頼む。
その本に込められた想いを、どうか“視”てくれ」
二階に上がる燈子にそう告げる天都の瞳には、強い意志の光が込められていて、
二階に上がる燈子は、振り向く事無く、二階に消えていきました。
天都は再度お茶を飲み、一息吐きます。
そして、桃の悲し気な視線に気付き、ふっと弱々しく微笑みました。
「軽蔑してくれて構わないよ」
「そんな事っ!…そんな…事…」
「良いんだ。
もし今の私がその場にいたのなら、当時の私を動かなくなるまで殴り続けただろうから」
桃は天都の言葉に返事を返す事無く、じっと俯いていて、
けれど、唇を噛み締めて真剣な目で天都を見て、
「……実は……あの。
…………私も、サイコメトリーが出来るんです」
桃はそう、口を開きました。
「そ…そうなのか?」
「はい。…ほら、この通りです」
桃は自身の左の眼球に触れます。
すると、今まで黒色だった瞳は、実はカラーコンタクトレンズで隠していた事が分かって。
本当の色は、深紅。
燈子と…サイコメトリーを操る少女と、同じ色。
「…あ、私がサイコメトリーだって事、他の人には内緒にしておいて下さいね?」
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