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そ、それじゃあお言葉に甘えて、ちょっと失礼しますね」
「ああ、ゆっくりで構わないよ」
?
「終わったわ」
それから暫くして、燈子は二階から戻って来ました。
その手には、件の本と、一枚のメモ用紙。
「あっ、あのっ!てんちょーっ!結果は…っ!」
「禊萩 天都。
貴方はまず今日のこれからの予定を全て破棄して、この住所に向かいなさい。
桃、お客様がお帰りよ」
「はいっ!…はいっ!?」
天都に本とメモ用紙を押し付けた燈子は天都の背をぐいぐいと玄関へと押して、
桃は燈子に言われるがまま扉を開けて、
天都はあまりにも急な事に目を白黒させて、燈子にされるがままとなっていました。
「ど、どういう事だっ!?頼むから説明してくれっ!」
「説明する時間も勿体無いわ。
早く行きなさい。
…貴方が罪を償える時間も、そう長くは残されていないのだから」
「…ッ!」
その一言に、天都ははっと目を見開き、
「報酬はその情報に見合うだけの額を頂くわ。…その情報の価値は貴方が決めなさい」
「…分かった」
全てを理解し、受け入れたかの様に、強く…強く、頷きました。
「さようなら。禊萩 天都。
貴方の書く物語、他の人がどういう評論をしているかは興味無いけれど…私は好きよ、ああいう手垢塗れの純文学」
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