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おーしーえーてーくーだーさーいーっ!」
「…はぁ。分かったわ」
「てんちょー…っ!」
「桃ってばこれ以上話さないと仕事しないでしょう?」
「さすがてんちょーっ!分かってますねっ!」
「はぁ…。
私が“視”たのは、老いて身動きの取れない、一人の女性。
その枕元には、一冊の本が置かれていた。
何度も繰り返し読み返された、禊萩 天都の本が」
「…え?
それで終わりですか?」
「ええ、そうよ」
「……はぁ」
「…やっぱり恋愛経験ゼロの桃には分からないわね」
「ふっ、ふーんだっ!
わ、私だっていつか素敵な男性と素敵な恋愛をするんですもーんっ!」
「はいはい。
ほら、お客さんが来たわよ」
「あっ!いらっしゃいませっ!
薄雪骨董品店にようこそっ!」
…大変長らくお待たせ致しました。
それでは、物に込められた人の想いを巡る、桃と燈子の奇妙な物語の、
始まり、始まり。
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