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誰が送って来たのか、天都さんはご存知なんですか?」
「ああ。
…だからこそ、信頼出来る者に“視”て貰いたかった」
天都はふっと、微笑みました。
「…正直、君達に託して良い物か、ずっと悩んでいた。
この本に込められた想いは…使い様によっては私を脅迫する最高の材料になり、私は窮地に立つだろう。
そんな物を、見ず知らずの…しかもサイコメトリーという怪しげな力を使う者にやすやすと託せる訳が無い。
…しかし、今の君達を見て、信頼に値すると知った。
…だから、頼む。
どうかこの本に込められた想いを、“視”て欲しいんだ」
「…教えなさいな。
この本に、いったいどんな意味があるのか。
この本を“視”るか“視”ないかは私次第。
…時は金なりよ。禊萩 天都」
「……分かった。話そう」
「天都さんっ!?」
「話さなければ事は進まない様だし…それに私も、誰かに話したいと思っていたんだ」
「賢明な判断ね。
桃。外の看板、クローズにして来なさい。
あとお茶、三つね」
「はっ、はいっ!」
たかたかと入り口に駆ける桃と、ふぅと息を吐く燈子。
「…ありがとう、二人共」
ふっとその背にそう告げる、天都。
…そうして、桃が煎れたお茶を一口飲んだ天都は、語り出しました。
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