神々のシナリオ

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神々のシナリオ

天を見上げると太陽と月が調律する世界。何万、何十万、何百年前からいる。 僕の仕事は一冊の本にひたすら文字を書き連ねる事。 気分がいい日は長編の物語を。逆に悪い日は短編の物語を。 そして今日もその一日が始まる……。 ◇ ◆ ◇ 僕の頭の上で軽快な音楽が鳴り響く。 「ん……、うぅん……」 体に覆いかぶさっている毛布を除け、上を伸ばし音が鳴リ響く物体に手を差し伸べる。 それは現代でも馴染み深いスマートフォンという物だ。 アラームを止め、画面をタップし時間を確認する。 「8時15分……」 デジタルの文字で書かれていた数字は8と15。まだ起動しきっていない頭をくしゃくしゃと掻き乱す。 そしてもう一度画面を確認。 「8時15分!!? 嘘だろ!!」 僕は布団から飛び出て、急いで洗面台に向かう。手短に歯を磨き、昨日から数ミリ伸びた髭を整え、寝室へとまた戻ってくる。 「もう最悪だよ!! 次遅刻したら今度こそ降格になっちまう……」 神御衣(カムミソ)に着替えながらいつの間にか出ていた独り言は、リビングで待機していた者にも聞こえていたらしく、こちらの様子を伺ってくる。 「モノギ。 ようやく起きたのか」     
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