神々のシナリオ

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扉を開けこちらを見るのは、如何にも紳士と言わんばかりの老人だった。 「なあドルトー……。 毎回言ってるよな、7時までに起きなかったら起こしてくれって~!!」 紳士老人のドルトーはこの家の住人で、僕ことモノギがやっている仕事を数十年前に引退した者の一人だ。 そしてドルトーは、僕の言葉に軽い笑みを仄めかす。 「ほっほっほ。 甘えてはいけませんぞ~。 なんせ私たちは―――」 「あー、もう! 説教は帰ってから聞くよ」 「そうかそうか。 んで、朝飯はどうする?」 「今日はなし!」 そう言い残し、モノギは玄関へと走る。その跡をつけ、ドルトーもやってきた。 「待てモノギ」 「何だよ。 もう行くところなんだが」 「ほれっ」 ドルトーは片手で収まるほどの巾着を渡してきた。モノギはそれを受け取り中を確認する。 「分かってたのか」 「そりゃあな。 無駄に長いこと生きとらんわ」 中に入っていたのはアルミホイルに包まれたおにぎりが2つ。ドルトーはこうなることが分かっていて、あらかじめ作っていたのだ。 「んじゃ行ってくるぜ」 「良き物を作るんじゃぞ」 ◇ ◆ ◇ 職場に8時57分に着き、何とか始業時間である9時には間に合った。 「はぁ……はぁ……。 本当にキツイ! 何でここには電車や車がないんだ!!」     
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