神々のシナリオ

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物語を書かれなかった子。それはどの神にも物語として一冊の本に書かれなかったこの事を意味し、その子は生まれて間もなく息絶えてしまう。 このご時世、人口が増えた地球では日々誕生する赤子に対し神一同、天手古舞で稀にこのようなことが起きてしまう。 「あと、モノギ君は事細かに記しすぎなのよ。 もっと大雑把でもいいのよ」 「ですが、人を導くのが僕たち神々の仕事であって―――」 「そういうところ! 今の世界に神を信仰している人は少ないんだから気にしちゃダメよ。 まあ厳しかったら言ってね、私も手伝うから」 「ありがとうございます……」 モノギは複雑な気持ちのまま次の仕事に戻った。ミカに任せると平凡で救いが少ない物語になる。どうしてもそれが許せなかったモノギは、必死に書き続けた。 一冊一冊、書くのが遅くとも丁寧に。 そして、昼休憩の間も定時が過ぎてもひたすら書き続けた。 深夜2時過ぎ、一人で50人分の物語を書き終え、デスクに高く積み上げられた書物を前にモノギは物思いにふける。 「(何故この世界に平凡は人が多いのかいつも考える。 それは僕たち神々が一冊の本にかける思いが薄れてしまっているからだ。 ドルトーが現役だった時代はそうではなかったという。 確かに人口が増え、信仰心も薄れてしまった人々が多くなり神々の力が弱まった。     
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