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「神田さん?どうした?飲み会疲れちゃった?早く寝ようか」
例えるならば、自信を喪失して、餌を捕りに行く気力を失ってしまったゴリラ。ポツポツと、上から言葉が降ってくる。
「月島がさ…お前のこと、綺麗だって」
「…そっか。うん、お礼、言わなきゃね」
「彼氏いるのかな、って」
「いない、って、言ってくれた?」
神田さん、どうしたの?
どうやらその気持ちは言葉となって出ていたようで、項垂れた神田さんはスタスタと脱衣所へと向かった。
「風呂、借りるわ」
後ろ姿を見送って、私は先にベッドに入る。
神田さんは、天性の遊び人だ。社内でもつままれた女の子はたくさんいる。三桁斬りしているのは、神田さんだと思う。
でも、二回目以降関係を持った女の子の話は聞いたことがない。そんな神田さんと私が、ほぼ毎週、もう半年もこんな関係を続けている。
確証があるわけじゃない。でも、九割方、間違いない。
私は、神田さんに想われている。
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