序章 白きもの

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可愛らしい顔をした少女 真剣な眼差しで 見ては 不思議な話をしてくれました 「一昨日 夜八時半頃 予備校帰りに バスが事故で渋滞してたんで 歩いて帰宅してたんですよ ああ あのぉ家は 王寺駅から十五分くらいの 王寺稲荷社の近くなんですけど。。。。。。」 「ああ あの王寺稲荷ねえ 大晦日に全国から狐がやって来ては自分達の段位を認めてもらうって」と 所長が腰を折れば その子 木次さんも乗り気になって「はい あの浮世絵でも描かれてますよね しかも 現代は大晦日に狐の面をつけて練り歩くイベントもやってるんですよぉ」と何故か頬を赤らめて そこで このままじゃ 話が逸れてしまうのを防ぐため 所長がまた返そうとしたのを突っ切って 私 白鷺が「それで その夜 何があったのですか?」と直接訊いたら 次のような話をしてくれました 要約すれば 家の近所まで 歩いて来たら ふと 社が明るく光って見えたとか そこで 好奇心旺盛な彼女 わざわざ 王寺稲荷社の境内へと近寄れば  なんと その稲荷の門前に 真っ白な衣裳(巫女さんみたいな?)を着て 狐面をつけた男? いや背が高かったので男の人と感じたけど それにしては かなり痩身 華奢な印象でもあったとか その狐面が 彼女のそばへやって来ては 「我を視ることができるのか?」と訊いて来たので こくんと頷いたら その狐面が 笑った えっ面が笑ったのか?と思うでしょうが まさにそんな感じがしては「ならば 次の新月の夜迎えに参る」と言っては  ゆらゆらと揺れては 実体が段々薄くなって消えてしまったとのこと そして なにげに 新月ってネットで調べたら 明後日がそうだとわかり これを友達に相談したら 絶対ぇーヤバイヨォ~? ってことになって ここ 太田区池の上の坂の上の相談所に行き着いたってことを説明されました  「うむ 場所が場所だけに 根が深そうだなあ」と本人がいるにも関わらず うちの所長 彼女が怖がるようなこと口走ってるしなあ 「はい 事情はわかりました ではその相談お受けしましょう」
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